too early to despair

絶望するにはまだ早い 2021

ショートストーリー【The end (of summer)】

台風が街を秋に変えて去った。

至るところに落ちているコンビニのビニール袋、折れた傘、そして夏のかけら。

 

平成最後の夏。

だなんて呟いてみても。

特に何があったわけでも、何もなかったわけでもなく。

ただただいつもと同じような夏が来て

そしてまた秋になる。

 

季節の変わり目はいつも滑らかで、

気がつけばそこにあるようなものだけど。

夏と秋の境目ってわりとハッキリしている。

暴力的に圧倒的に全てを巻き込んだ嵐は、この夏もまた、あの夏に変えてゆく。

 

バイバイ、また会おうね。

夏の似合う素敵な人。

夏みたいな、君。